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労働問題

就業規則・賃金規程を変更する予定だが、給与が低下してはいけないのか

就業規則の内容が低下する場合は合理的理由が必要です。また不利益の大きさや導入手続き方法、激変緩和のための措置などを検討しながら進める必要があります

Q、就業規則と賃金規程を変更したいとおもいます。それにより全社員が1割程度、給料が低下します。がその分は賞与等で成果に応じて配分する予定です。それでもダメなのでしょうか。

A、就業規則の内容が低下する場合は合理的な理由が必要です。また不利益の大きさや導入手続きに問題があると無効とされるケースもあります。成果主義的な体制に移行することは問題ありませんが激変緩和のための措置などを検討しながら進めていく必要があります。

まず原則として
1 就業規則は合理的な理由があれば変更できる。
2 就業規則を不利益に変更することは原則として許されず、特に賃金、退職金等の労働条件については高度の必要性に基づいた合理的な内容が求められる。
という点があります。

給料の引き下げは労働条件の不利益変更、一般的には就業規則の不利益変更としてとらえられています。就業規則を一方的に不利益に変更することは労働契約法第9条により原則として許されません。

ただし、会社が労働者に変更後の就業規則を周知させ、その変更が合理的である場合には、就業規則の変更によって労働条件を変更することができます。
就業規則の変更に合理性があるかどうかは労働契約法第10条により
1 労働者が受ける不利益の程度
2 労働条件の変更の必要性
3 変更後の就業規則の内容の相当性
4 労働組合等との協議の状況

等に照らして判断することになっています。

質問の内容からすると賃金総額は変わらず、評価方法を変更するとの趣旨と取れます。

このようなある種の成果主義賃金制度の導入は、企業の賃金に対する方針であり、“手当廃止”等の制度の変更により社員に具体的な不利益が確実に発生するような内容とは、別物として考える必要性があります。

これは、業務成績によっては昇給や賞与増額もありえるわけですから、「高度の必要性」のハードルが単なる手当廃止や賃金の低下よりも下がると考えられます。

判例でも年功制から成果主義に変更したことにより、賃金が減額された事件について、
●どの従業員も人事評価の結果次第で昇格も降格もあり得るのであって、自己研鑽による職務遂行能力等の向上により、昇格し、昇給することができるという平等な機会が与えられているということができる。
●人事考課査定に関する制度が合理的なものであるということができるのであれば、この賃金制度の変更内容も合理的である。

として「人事評価制度」が合理的な評価であれば、制度の変更自体も合理的であるとの判例があります。裁判でも社員個人に対する、不利益の内容で判断するのではなく、あくまでも制度の内容の合理性・整合性を問題にするべきだと考えられているのです。

 とは言え、「明日から新制度で給与が下がります」では制度内容が大丈夫でも、導入方法に問題があるということになります。

制度の内容を社員と話し合い理解してもらう機会を設けることはもちろん、1年間は特別手当等を支給することで激変緩和のための措置とする、などの方法は取る必要があるでしょう。 

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