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同一労働同一賃金 正社員にだけ支給している精勤手当、皆勤手当は?

精勤手当、皆勤手当の支給の目的を考えますと、正社員と契約社員・パート社員の間で、単純に支給の有無について差をつけることは難しいのではないかと思われます

Q、同一労働同一賃金 正社員にだけ支給している精勤手当、皆勤手当はどうなりますか?

A、精勤手当、皆勤手当の支給の目的を考えていきますと、正社員と契約社員・パート社員の間で、単純に契約社員だから、パートタイマーだから、という理由だけで、手当の支給の有無について差をつけることは難しいのではないかと思われます

「精勤手当」「皆勤手当」として、一定期間中、主に給与計算の期間1か月間において、無欠勤であることを条件として手当を支給している会社も製造業やサービス業などでは多く見受けられます。

これらの精勤・皆勤手当については法律で義務付けられている手当ではなく、あくまで企業が任意に定めている手当になります。このためその支給方法や基準、金額についても企業が独自に就業規則や賃金規程で内容を定めることになります。

では「同一労働同一賃金」の元ではこれら「精勤手当」「皆勤手当」はどのような扱いをするべきなのでしようか?

同一労働同一賃金ガイドライン

精皆勤手当
通常の労働者と業務の内容が同一の短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の精皆勤手当を支給しなければならない。

(問題とならない例)
A社においては、考課上、欠勤についてマイナス査定を行い、かつ、 そのことを待遇に反映する通常の労働者であるXには、一定の日数以上出勤した場合に精皆勤手当を支給しているが、考課上、欠勤についてマイナス査定を行っていない有期雇用労働者であるYには、マイナス査定を行っていないこととの見合いの範囲内で、精皆勤手当を支給していない。

同一労働同一賃金ガイドラインでは上記のような記載になっています。
正直なところあまりよくわからない(事例)ではないかと思います。欠勤したことについて「全くマイナスの査定をしない」という会社があるのでしょうか。

ガイドラインとは別の厚生労働省の資料である「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル」の皆勤手当の項目を確認してみますと、

手順1:皆勤手当の「性質・目的」を考えてみます。  
○なぜ、皆勤手当を比較対象労働者に対して支給しているか考えてみると、この企業では、出勤する製造担当者を一定数確保する必要があることから、皆勤を奨励する趣旨で支給しているものとわかりました。      

手順2:手順1を踏まえ、待遇差が不合理か否かを判断するに当たってどのような考慮要素があるか、考えてみます。  
○皆勤手当の「性質・目的」が、出勤する製造担当者を確保するため皆勤を奨励する趣旨であるので、「業務の内容」が、皆勤手当の支給の有無に影響を及ぼすものと考えられます。  
○また、この企業では、他に「その他の事情」として、皆勤手当の支給の有無や支払いの仕方に影響を及ぼすような事情がありませんでした。

手順3:取組対象労働者には皆勤手当が支給されていないことについて、不合理でないと整理し、取組対象労働者が納得するよう説明できるでしょうか。  
○この企業では、比較対象労働者と取組対象労働者との間では、業務の内容は同じでした。  ○業務の内容が同じであれば、出勤する者を確保する必要性は同じであり、その必要性は、職務の内容・配置の変更の範囲の違いにより異なるものではありません。
○すると、皆勤手当について取組対象労働者に支給しないことは「不合理ではない」とはいえず、改善に向けた取組を進めていく必要があると考えられます。

上記のような流れによってその手当の支給に差をつけることが正当なものか、また逆に不合理なものかを判断することになります。

また検討手順の元になった下記の裁判例を考えてみても

ハマキョウレックス事件 平成30年最高裁判決

○出勤するトラック運転手を一定数確保する必要があることから、皆勤を奨励する趣旨で支給されるものであると解されるところ、上告人の乗務員については、契約社員と正社員の職務の内容は異ならないから、出勤する者を確保することの必要性については、職務の内容によって両者の間に差異が生ずるものではない。
○乗務員のうち正社員に対して上記の皆勤手当を支給する一方で、契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、不合理であると評価することができるものである。

と最高裁は判断をしています。

「精勤手当」「皆勤手当」という手当の本質が、出勤を奨励し、出勤に対する報酬としての手当である以上、同一労働同一賃金の下では「正社員」にのみ支給し、契約社員やパート・アルバイトには支給しないということは難しいようです。


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