Ｑ、モラルハラスメントとはどのような行為で、放置することで会社としてのリスクはありますか

Ａ、モラハラの定義は本文に記載しますが、放置することで会社の業務を阻害し、職場環境が悪化することで優秀な社員の退職など様々なマイナスがあります。

最近よく耳にするモラルハラスメント=モラハラですが、具体的にはどのような行為を言うのでしょうか。また社内のモラハラを放置することで会社にはどのようなリスクが生じるのでしょうか。

　まずは混同しやすいモラハラとパワハラの定義についてです。
パワハラとはパワーハラスメントのことで、主に、職場内において上司や先輩などが、その優位な立場を利用して部下などに精神的・肉体的な苦痛を与える行為をパワハラといいます。

その一方で、モラハラとはパワハラとは違い、仕事上の力関係を利用しないで行われる同僚や職場内での嫌がらせや精神的暴力のことです。

具体的には
①コミュニケーションを拒否して相手を孤立させる行為・言動
　いわゆる無視、などです。

②相手の尊厳を傷つける言動
　誹謗中傷するような噂を流す、バカにした態度をとる、身体的特徴をバカにする、などです

③仕事に関して相手を阻害するような行為・言動
仕事に必要な情報を与えない、相手が困るような仕事を押し付ける、などです。

④言葉による暴力、肉体的な暴力
　笑いものにする、冗談のふりをして叩く、などです。

いわゆる学校などで問題になる「いじめ」の社会人版、会社版です。
このような、社内で「いじめ」が発生していることに気が付かない、または放置していると下記のようなマイナス要素が会社に発生します。
○職場秩序の乱れや従業員の勤労意欲の低下
職場の秩序・風紀が乱れ、他の従業員（特に仕事熱心で真面目な従業員）の勤労意欲やモラルが低下し、組織としての適正で効率的な業務運営が阻害されます。

○業務の円滑な遂行への支障
モラハラ被害者が退職するなどの結果をもたらします。
当然、周囲に悪影響を与え、社内全体の仕事の能率が低下し、生産性の低下を招きます。

学校などの「いじめ」と同様に、モラハラなどが行われ、それが放置されている職場では結果として、従業員は会社の業績向上や仕事の質のレベルアップに力を注ぐのではなく、また経営者や上司の指示・命令よりも社内的な「力」を持っている従業員の思惑を優先するようになります。
これにより、優秀で意欲のある従業員から退職していき、社内での「力関係」「仲間関係」「派閥関係」だけを重視するような従業員が大量に残る、吹き溜まりのような会社になってしまいます。
当然、会社業績は徐々にですが確実に低下していきます。

また、このようなハラスメントが放置されたままの状態で、うつ病になり自殺に至った場合には、それが労働災害として認められる可能性が非常に高くなります。
この場合は職場内の「安全衛生への配慮を怠っていた」「いじめ加害者の使用者としての責任」を会社取る形になり、民事裁判でも損害賠償請求される可能性もあります。

「ハラスメントはダメですよ」と言っているだけではなかなか無くなることはありません。ハラスメントを起こした場合、どんな処罰を受けるのかが明確になっていないと、効果的なハラスメント防止策にはならないためです。
そのため就業規則などでハラスメント行為・言動を行った従業員に対する懲戒処分を定め、会社は決してハラスメントを許さないことを周知・徹底することが重要です。

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